ROGERSがLS3/5Aをリバイバルするかたちで作られたStudio3のYahooオークション落札価格情報。
同社の経営が香港資本に移り開発力も衰えた時期でありセールスは低調でした。したがって中古の流通も少ないのですが手軽に英国スピーカーを楽しめるモデルです。
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3つの重要なヤフオク落札履歴
中古市場におけるの評価は、以下の人気・価格・コンディションに現れています。
中古コンディションとしては平均的であり、人気を集めるオークションとなりました。しかし落札価格は伸びなかった、出品者の評価が低いことと情報不足が原因と思われます。
人気・コンディションと落札価格
- 落札価格:¥40,500(JPY)
- ウォッチ件数:112人
- コンディション :★★☆(Average)
- ヤフオク出品時の商品タイトル
- ロジャース スタジオ3 ROGERS Studio3 モニター スピーカー ペア 動作確認済み 一点限り
- 入札・落札情報
- 落札日時:2024.01.03(水)23:29
- オークション開始日時:2023.12.31(日)13:36
- 開始価格: 300円(税込 – 円)
- 入札件数:44件
- 出品地域:東京都
- オークションID:j1119630784
- 出品者
- 出品者ID:けん
- 出品社名:ー
- URL:https://auctions.yahoo.co.jp/jp/show/rating?userID=tokyo_loose2006
- 評価(良い):98.3 %(取引 527件中・ 2023年 3月時点)
Rogers Studio3の音質とは
日本のオーディオ雑誌ではおおむね好評のレビューが載っています。
これはRogersに限りませんが、日本人の評論家は英国製のオーディオについて批判することはまずありません。
抑制の効いた音質が日本人の好みに合うことは間違いありませんが、イギリス製のオーディオに関してはレビュー全体に偏ったところも見受けられるため注意が必要です。
オーディオ雑誌や評論家の過去レビューまとめ
刺激的な音調を嫌うことで有名だった故 入江純一郎(Jynichiro Irie)氏と金子英男(Hideo Kaneko)氏からかなりの高評価を得ています。
- 再生周波数帯域はさほど広くはないがバランスの偏りがなく強調されていない自然な良さがある。
- ダイナミックレンジはさほど取れないためプロ用モニターというには無理があるが、家庭用としてみれば質感が高くリアルな楽器の響きを感じさせる。
- バランスの良さと刺激的な音を出さず解像度を上げた設計はこのサイズでは難しいスケールの大きさを感じさせる。素晴らしいスピーカーである。
オーディオ雑誌ではLS3/5の後継モデルという宣伝もなされました。
注目された音質技術と現実の評価・人気
現実にはLS3/5の後継モデルというには質感が少々見劣りするという印象をもったオーディオ愛好家が多かったようです。
LS3/5よりワイドレンジになったものの濃密さに欠けるという声があります。
そのせいかセールスははっきり不調であったといわれています。
ヤフオク落札相場データ
※過去3ヶ月間にオークションでの落札がない場合、履歴は表示されません。
※現時点で出品がなされていない場合、検索結果は表示されません。
※Yahooオークションの落札履歴はシステム上の理由から最大2年で抹消されます。
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オーディオショップの中古価格
ハイファイ堂・オーディオユニオンほか専門店の中古相場
その他オーディオショップ・中古オーディオの販売価格
「正しい価格」はどちらか・オーディオショップとオークション
Rogers Studio3の中古価格は、オークションを参考にしたほうが正確です。
オーディオショップよりも流通数が多く、その時の人気を正確に反映しているからです。
小型であるため個人が宅配業者を利用しやすい大きさと重さであることも中古のRogersがオークションに流れ込む要因となっています。
よくある故障・不具合
コンディション判定『★★☆(Average)』の個体。傷はあるものの使用には問題のない中古Rogersです。
商品情報は不備があり、シリアルNoや細部を確認する画像がありません。
出品されたのコンディション評価
「買ってはいけない」中古Rogers Studio3のポイントとは
基本的に頑丈な作りであるRogers Studio3で注意すべきポイントは少ない。
- ポリプロピレンウーファーの振動板(劣化し波打ってしまうことがある)
- ウーファー振動板のエッジ(Surround):ゴム製のため劣化は少ないが割れることはある。
- キャビネットの傷
- サランネットのほつれ・やぶれ
ネットワークと高域(ツィーター)についていえば劣化する部分はありません。
なおRogersの衰退期にあたるモデルとはいえ、左右スピーカーの出力特性は厳密にペアリングされ出荷されています。
つまり壊れたStudio 3から部品取りをして修理することはできない。
Rogers Studio3の仕様
BBCモニター「LS3/5A」の生産終了にともない、その後継として企画されたモデル。
『LS3/5』に酷似した設計。
というより当時のロジャースは開発力が低下しており、成功したモデルを踏襲する以外の手段はなかったということが真相です。
メーカー・発売年次と定価
Rogersが香港資本に吸収された時期にリリースされています。
日本においてはロジャースジャパンという法人を設立・販売しましたが、それまでのディーラー網を引き継ぐことができず人気のないモデルとなってしまいました。
- メーカー:Rogers
- モデル名・型番:Studio 3
- 発売年次:1996年
- 定価:¥130,000(/ペア・JPY)
Rogers Studio3の主要スペックと音質技術
LS3/5との大きな違いは使用されたユニットにあります。それまでのKEF製からRogers内製/Scan-Speakに変わりました。
製造コスト削減の目的であったと思われますがKEFの音を熟知した日本のユーザーからは不評であったといわれています。
- 主要スペック
- 2ウェイ・密閉方式・ブックシェルフ型
- 低域用:11cmコーン型(Rogersオリジナル)
- 高域用:1.9cmドーム型(Scan-Speak)
- 再生周波数帯域 80Hz~21kHz ±2dB
- 大きさ:幅190x高さ302x奥行162mm
- 重さ:5.0Kg(/本)
- 入力インピーダンス: 8Ω
- 能率:85dB/2.83V(RMS)
- クロスオーバー周波数 3kHz(18dB/oct)
- 最大許容入力 45W
- 音質技術の注目ポイント
- ほとんどLS3/5といっていいほどの共通した設計
- BBCモニターに準拠して厳密な製造管理が行われている
- ネットワーク関連はパーツ・ケーブル共に高品質な仕様にされている
製造メーカーの目でみるオーディオ機器としての寿命
中古KEFによく見られる現象ですが、ポリプロピレン振動板が波打ってしまうことがあります。
この点が寿命を決めるポイントです。
ポリプロピレン自体は安定した素材であるため、振動板を製造する際の不具合があるものと思われますが詳細は不明です。
波打った振動板は音質も大きく変化するため、購入するべきではありません。
Rogersの経営不振時代に作られたStudio 3
Studio 3にとって不幸だったことは、会社としてのロジャースが不振であった時代に企画・生産されたモデルであったこと。
決して悪いスピーカーではありませんが、人気はなかった。
発売は香港資本になった3年後です。日本代理店も20年来の付き合いがあったオーデックスジャパンを外す措置が取られ訴訟にまで発展してしまいます。
メーカーとして開発能力も低下しており、新製品とは言いながら現実には長く作り続けたLS3/5の設計を踏襲するより他にありませんでした。ある意味中古を求めるユーザーにとっては安定しきった技術を使っているため朗報とも言えるのですが。
アンプ群に至っては旧山水電気のOBに助力を仰いて開発する有様であったことが、イシノラボの紹介に詳しい。同じ時期に山水電気はスペンドールの代理店にもなっていますが、スペンドールの内情もRogersと同じ惨状でありセールスは不振であったといわれます。
付け加えるならば、1990年代後半から2000年初期にかけ、SpendorやWHARFEDALEといった英国の名門オーディオメーカーの多くが経営危機に陥り投資ファンドに買い取られています。
例外はB&W(Bowers and wilkins)ですがこちらも2016年に買収されてしまっています。
こちらも親会社の倒産に巻き込まれ、現在(2024年)に至るまで経営は目まぐるしく変化している有様。
このような時期はどうしても製品が荒れます。あまり手を出すべきではないというのが製造業から見た英国スピーカーです。
クルマだけでなく英国はどうやら製造業全般が苦手らしいと、メーカー出身として感じる次第です。
中古のメリット・デメリット
最新ブックシェルフスピーカーとの比較
新品時の評価はさておき中古オーディオとしてのRogers Studio3はなかなか魅力的なスピーカーです。
なにより中古価格が安く、しかも同じとはいえないにせよLS3/5に準じる音質をもつスピーカーであることは間違いがありません。
LS3/5の後継モデルと宣伝してしまったことが不人気のもと
デメリットはLS3/5の後継であると喧伝してしまったこと。
何かにつけBBCモニターの名機と比べられてしまい、中古を選ぶことすら予算の都合で仕方なく選んでいるような錯覚を買い手に持たせてしまっています。
確かにRogers Studio3にかつてのLS3/5を求めるのは無理がある。
しかし虚心に聴けば滑らかで暖かい高音質です。
しかもこの価格帯には珍しく左右の出力特性を揃えるといった品質管理がなされており、ステレオイメージは良好です。
Studio 3の不幸をさらに挙げるならば、日本はLS3/5大国ともいえる市場であったことです。
極めて人気が高く、愛好家の知識量も多い。
日本市場においてStudio3をBBCモニターと喧伝することは、かえって誇大宣伝と見られてしまうのです。
LS3/5の人気から評論家やオーディオ雑誌もStudio 3を「廉価版」とはレビューできず、むやみにほめたレビューばかりとなったことがかえって逆効果となりました。
その背景を知ればStudio 3の中古相場はかなりのお買い得ともいえます。
年月を経て冷静に評価されていいスピーカーです。