SANSUI AU-α607MRのYahooオークション落札価格情報。同社のバランス回路が完成に近づき「XR」までの迫力一辺倒の低音から脱却したモデル。しなやかさを追求しています。
個体についていえば程度はよろしくない。
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3つの重要なヤフオク落札履歴
中古市場におけるのSANSUI AU-α607MR評価は、以下の人気・価格・コンディションに現れています。
状態ははっきりいってあまり良くない、しかしどんなコンディションでも常に一定のウォッチ数を獲得するのがAU-α607MRです。
修理すれば一線級の音質に戻せることをオーディオ愛好家はよく知っている。
人気・コンディションと落札価格
- 落札価格:¥21,001(JPY・税別)
- 人気(ウォッチ数):★★☆(75人)
- コンディション :★☆☆(Poor)
- ヤフオク出品時の商品タイトル
- SANSUI プリメインアンプ AU-α607MR サンスイ 山水 ◆ 69496-1
- 入札・落札情報
- 入札件数:27件
- 開始価格 1,000 円(税込 1,100 円)
- 開始日時 2023.02.09(木)18:08
- 終了日時 2023.02.16(木)22:58
- オークションID m1081338937
- 出品者
- 出品者ID:toomookaanaa
- 出品社名:リサマイ市場・本館(株式会社リサイクルマイスター)
- URL:https://recyclemeister.co.jp/
- 評価(良い): 99.2%(取引 142,337件中・ 2023年 7月時点)
- 出品地域
- 愛知県
SANSUI AU-α607MRの音質とは
発売の1995年時点でサンスイの経営はかなり苦しくなっていました。
そのため評論家やメディアへの試聴機材の貸し出しが少なく、特に607MRについての論評は少ない。
オーディオ雑誌や評論家の過去レビューまとめ
但しその評価は大変に高いものでした。特に日本のオーディオ評論の重鎮であった長岡鉄男(Tetsuo Nagaoka)と菅野沖彦(Okihiko Sugano)両氏をして「別次元」といわしめたプリメインアンプ。
その評論は、
- 607XRに感じられた低音の鈍さと中高域における力感の不足がなくなった
- 上位の707MR・907MRがいかなる音になるのか、想像しづらいほどの完成度、S/Nが抜群によくしなやかなさも優れる。
- AU-α907MRと比べて価格差(約3倍)どおりの性能差と思えない、せいぜい30%の差ではないか。
余談ながら開発設計者である横手正久(Masahisa Yokote)氏は607MRをベースにした「607NRA」について
駆動力は907NRAが上だが、ノイズ対策と結果としての音の静けさについては607NRAが上である
と述べています。
商売人としての資質にはいささかの疑問が残るのがサンスイの関係者であり、あるいはNakamichiですが、ことオーディオの音質についてはすべてのモデルに絶対の自信があったことが伺えます。
注目された音質技術と現実の評価・人気:PMA-2500NEクラスが10万円で売って時代
1990年代後半は10万円台のプリメインアンプが常識はずれの音質(そして低価格)を実現していた最後の時期にあたります。
AU-α607MR(SANSUI)のほかPMA-2000(DENON)そしてA-927(ONKYO)。
現在でいえば掛け値なくPMA-2500NE(¥278,300・JPY)とほぼ同じかあるいは上回る造りと音質が10万円前後で販売されていました。
ライバルがPMA-2000(DENON)、ONKYO A-927・そのすべてが採算度外視で撤退や倒産
最終的にはDENONが勝利を収めますが、嘘か誠かPMA-2000の開発時「これでダメならプリメインアンプは止める」というやりとりがあったと書かれたほど。
その販売競争は大変な消耗戦であったらしく、この後は各社とも撤退や値上げ、あるいはサンスイやONKYOのように倒産してしまいます。
つまり中古サンスイを筆頭にこの時期の中古プリメインアンプはおおいに狙い目です。
ヤフオク落札相場データ
※過去3ヶ月間にオークションでの落札がない場合、履歴は表示されません。
※現時点で出品がなされていない場合、検索結果は表示されません。
※Yahooオークションの落札履歴はシステム上の理由から最大2年で抹消されます。
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(2023年まとめ)過去のオークション落札履歴
オーディオショップの中古価格
(2024.8.10)
SANSUI AU-α607MRの中古はオークションに多く流通しています。
オーディオ専門店では買取をしなくなっており、買取専門業者からオークションという流れです。
価格としては¥30,000前後。
状態に対する入札者の目は厳しく、コンディションで値段は分かれます。
ハイファイ堂・オーディオユニオンほか専門店の中古相場
よくある故障・不具合
以下よりコンディション判定『★☆☆(Poor)』となります。
全体的に傷・汚れが多いのですが、特に天板にコンポーネントを置いた形跡があります。
放熱が妨げられていた可能性が高く内部の劣化が進んでいる可能性大です。
出品されたSANSUI AU-α607MRのコンディション評価
出品者に追加質問したい確認事項
- タバコ臭の有無、または禁煙環境にあったかどうか。
- スピーカーターミナルは確実に締まるか(ゆるみ・ぐらつきはないか)
- 背面入力端子のグラつき(ケーブルの大型化・極太化にともない破損の事例が多発している)
「買ってはいけない」中古SANSUI AU-α607MRのポイント
音質優先と思われがちなサンスイですが、現実は手堅い設計であり熱対策なども入念に行われていたため経年劣化に強い中古です。「サンスイ専門修理業者」が成立する背景でもあります。
問題はユーザーの使用環境です。
比較的乱暴に扱われやすいブランドです。
改造も行われている可能性があります。
具体的には内部を開け、ブチルテープなどを貼ることによる防振が行われた場合です。
基板にエポキシ樹脂を垂らして防振するという酷い個体も「よくある」。
稀にあるのではなく、割とあるのです。中古専門業者がよく見るポイントです。
見分け方は外観の汚さ。
改造された個体は例外なく外装が汚く、傷も多い。
中古サンスイは外装に注意です。
SANSUI AU-α607MRの仕様
SANSUIにあって常にセールスの主力であり続けたAU-α607。特にモデル「MR」はサンスイトーンが大きく変化してモデルと言われます。
「MR」に限らずサンスイの歴代607に言えることは。「907のベースモデルであった」ということ。
メーカー・発売年次と定価
- メーカー:SANSUI(サンスイ)
- モデル名・型番:AU-α607MR
- 発売年次:1995年
- 定価:¥99,000(/台・JPY)
AU-α607MRの主要スペックと音質技術
サンスイは自社製品を開発・製造するにあたり、常に607をベースにしていました。
「AU-α607MR」は907MRと共用している部品が多い。
当時サンスイの経営は厳しく、多種多様な部品を大量に購入するだけの体力は残されていませんでした。
そのため販売台数の最も多いAU-α607MRで基幹部品の多くを調達し、セパレートアンプからプリメインアンプまでシリーズ全体の製造コストを低減しようとしました。
その結果が「AU-α607MR」の高音質につながっています。
- 主要スペック
- 大きさ:幅430x高さ162x奥行452mm
- 重さ:18Kg(/本)
- 出力:105W+105W(6Ω)・90W+90W(8Ω)
- 消費電力:250W
- スペック上の注目ポイント
- サンスイのバランス回路が完成に近づいたNew Hyper α-Xバランス回路・Newダイアモンド差動回路
- バランス回路により最適化する電源としてのNew α-Xバランス電源(安定化電源回路を定電圧型から定電流型へ変更)
- バイポーラトランジスタとして最適なデバイスとみなしたNM-LAPTの採用
- ボリュームは6連型(AU-α907MRと同じ部品を使用)
- 上級機種
- 海外製品、そしてその他日本メーカーとの大きな違いとしての振動対策(ツイン・モノラル・コンストラクション/アイソレーテッド・メカニカル・フィードバック)
- 電気的な特性だけでなくヒアリングを重ねて吟味した電子部品・筐体の素材
製造メーカーの目でみるオーディオ機器としての寿命
本来ならば30年近くを経たSANSUI AU-α607MRは、オーディオ機器としての寿命がとっくに尽きています。
しかしまだ買える。
理由は2点。
- 専門業者によりメンテナンスがされた個体が多い
- 放熱や部品への負荷を低くするよう考慮された高品質の設計から修理がしやすい
15年ほど前、日本では「中古サンスイブーム」が起こりました。
その際サンスイOBにより設立されたアクアオーディオラボほかサンスイ修理を専門とする業者が数多く登場し、かなりの台数をメンテナンスしています。
そのため現在でも生き残っているサンスイアンプが多い。
廉価なAU-α607MRも例外ではありません。
中古のメリット・デメリット
最新プリメインアンプとの比較
中古としてのデメリットは上記のとおり状態のよい個体が少ないこと。
常識はずれの採算度外視オーディオアンプと言われたDENON PMA-2000と比べても材料が吟味され、しかも低発熱のため本当はもっとコンディションが良いはずなのですが、客観的にみて荒れた中古が多い。
サンスイはAU-α607MR時代にオーディオにおけるバランスアンプの理想を作り上げた・907そしてNRAシリーズが高音質であった理由
しかしデメリットは注意深く個体を選べば回避できます。
そしてメリットはなんといってもその音質です。
607MRはセパレートアンプに迫るといわれた907MRのベースモデルというべき内容があり、廉価版とはいえない内容。現在企画すれば価格は軽く3倍はすると思われます。
はっきり申し上げて、原材料と加工費が高騰している現在(2024年)、まったくのゼロからAU-α607MRを作ろうとした場合、販売価格は¥300,000でも採算が取れるかどうか怪しい。
値段を考えず虚心に聴き込んだならば、¥100,000のプリメインアンプとはとても思えない音質です。
無論現代のアンプでも太刀打ちできるものは少ない。
サンスイの退潮を知りつつも購入したオーナーはそれを理解しており、その後の「NRA」シリーズは販売数が少ないながら愛好家がミントコンディションを探すモデル。
良品を探したい中古オーディオです。