ヤフーオークションの情報として現在(5月17日)Sonus faber ELECTA AMATOR(エレクタアマトール)が出品されているので履歴情報を残します。
初期製品であり美品です。またオークション中のコンディション変化も含めてミントコンディションのソナスファベールについて現在の評価を知る格好の対象と思いました。
- ミントコンディション:外観極めて良好・純正スタンド付き
- 出品中に出品者により外観の補修が行われた(オイルステインワックス)
上記の条件に対する市場の評価を残しておきたいと思いました。
落札情報(Sonus faber ELECTA AMATOR)
- 落札価格:¥555,464
- サイトURL:https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k549208745
- 出品者:(株)ヤマデン(ID:kzy9829)
- ウォッチ登録数:238人
- 落札件数:153件(落札履歴データは以下よりダウンロード可能)
出品物のコンディション
- シリアル連番(No:2543385A/2543385B)
- スピーカー本体に目立つ傷なし。日焼けによる退色あり(出品者情報)
- ユニットへの傷なし。エッジに破損・ヒビなし。
- 片側チャンネルの銘板に汚れ(表面腐食・金属素材のためやむを得ない)あり。
- 片側チャンネル大理石ベースの角に欠けあり(画像より目視可能な大きさ)
- 純正ジャンパーバー付属
- 5月16日に出品者によりオイルステインワックスが塗布される(日焼け退色への対応として)
スペック・諸元(Sonus faber ELECTA AMATOR)
- 発売時期:1988年
- 発売時価格:¥265,000(1本)
- 方式:バスレフ式2ウェイシステム
- 外径寸法(本体)W220×H370 ×D350(mm)
- 外径寸法(スタンド)W320×H550〜700 ×D320(mm・高さは可変式)
- 重量:15Kg(スピーカー本体のみ・1本)
- インピーダンス:8Ω
- 再生周波数帯域:45Hz〜30Khz
- クロスオーバー周波数:350Hz
- 出力音圧レベル:88dB(W/m)
- ユニット構成(高域):2.8cmドーム型×1
- ユニット構成(低域):18cmコーン型×1
- オプション品:専用スタンド(¥45,000/1台)
- その他詳細:オーディオの足跡
中古の確認ポイント
このスピーカーについては、以下2点が確認ポイントの全てです。
- 外観に傷があるかどうか、傷が少なく、小さいほど良い
- 専用スタンドの有無
極端な言い方になりますが外観が良くない個体の場合、価値はありません。
音とともに現在では実現できない造りを楽しませるのが本機の美点です。逆に上記2点を満たし特に外観の程度が極めて良い場合、取引価格は製品定価を上回ります。
なお無垢のブラジリアンローズウッドを使っているため日焼けによる変色が起こりやすい機種です。
ただこれは直接日光に当てなくともある程度は起こります。
本物の素材を使い職人の手で仕上げるソナスファベールの代表
現代では作れない、それが全てです。素材の良さと造り、そして音のまとめかた。
ソナスファベール社の創業は1985年ですが、3年後にこれを出していたとは今更ながら驚くほかありません。
使われている素材の豪華さばかりが言われますが、外観のとおりツィーターを特注してウーファーとツィーターの距離を最短にする工夫などいわゆるオーディオ的な技術にもコストを掛けています。
結果として音決めのセンスも卓越しております。
現在入手が難しい材料や加工が行われた
スピーカーエンクロージャは突板ではなく無垢です、素材のブラジリアンローズウッドは現在ワシントン条約の規制対象であり、ごく最近輸入規制は緩やかになったとはいえ入手は難しく現在では商業ベースにのせることは難しい。
また制作は通常の木工職人ではなくバイオリン製作者が塗装を含めてスピーカーの製造にあたっています。バッフル表面の革張りなど工業製品とは呼べないような仕上げです。
本物の素材を使い職人の手で仕上げる、というコンセプトについて本機種や初期Minimaのユーザーは80年台末の時点で既にこれを理解している人が多く外観コンディションの維持に気を遣ってきたものが多い。
なお高級品というより高額であればよかったバブルの最中、ソナスファベールのような製品に関心を向け所有したユーザーははっきりセンスがよかったと思います。
補修はむしろしないほうが良いかも
今回個人的に疑問なのは途中出品者により日焼けへの対応としてオイルステインワックスの塗布が行われたことです。
しないほうがよかった、というよりむしろしないことこそ国内での正統な管理なのではと思います。
本機の仕上げは工業製品的なアプローチとは完全に異なる方法論で行われています。 使われている材料も塗料メーカー等では扱わないものであり、それを使った加工も通常の塗装ラインで行われるいわゆる表面仕上げとは全く異なるものです。
本機種だけでなく初期のソナスファベール製品について、自力で補修を試みる事例を見聞きしておりますが、通販やホームセンターで入手可能な塗料群による補修可能な仕上げであるのか、疑問です。
素材の良さをPRするスピーカーはあまたありますが、それはあくまで工業製品の枠内での話。ソナスファベールは加工までもがマスプロダクションとは対極です。
職人並みの技量がない場合、素直にそのままで使うのが良いと思います。
なお恥ずかしながらこの頃ソナスファベールの音はいい音と理解できましたものの好みではありませんでした。
しかしそれでも認めざるを得ない完成度があると思っていました。そもそも音だけで判断するようなものではなかったのですが、その感性が自分になかったと思うとともに今更ながら気になるスピーカーです。
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