muRata ES024(スピーカー)・ヤフオク落札相場情報

中古オーディオ

ヤフーオークションの情報として現在(5月14日)村田製作所の圧電スピーカー、muRata ES024が出品されているので履歴情報を残します。

販売当時ほとんど話題にならず、そもそも大音量が絶対に出せないなど使用条件が限られるのですが、その範囲内では不気味なほどの立体像が浮かぶスピーカーです。

落札情報・muRata ES024

  • 落札価格:終了後記載
    →(5月19日)303,755円で落札。
    →(6月1日)再度出品されました
    ・¥335,456にて落札
    最終入札者の取り消し履歴が確認できました。なお再出品されたものはシリアルから同じ個体と確認しております。
  • 終了日(予定):5月19日(21:58)
    →再出品後の入札終了日:2021.06.07(月)21:35
  • サイトURL:
    (初回)https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d527836964
    (再出品時)https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/w474731664
  • 出品者:ウエスト(Tunagu株式会社) tunagu5555
  • 入札件数:
    →(初回・5月19日)133件
    →(再出品・6月7日)124件
  • 落札履歴データ

出品物のコンディション

【ご注意】
ヤフーオークションの著作権は出品者にあるため画像の転載は致しません。
恐れ入りますが画像そのものは上記の「サイトURL」(URLはアフェリエイトではありません)よりご確認をお願い致します。
以下では出品者画像から読み取れる情報と通常市場で取引されるUsedとの差について以下記載致します。

コンディション概要

画像から確認できる限り高域/低域ともにユニットには傷がありません。エンクロージャについては下地が見えない程度の、しかし数ミリの傷が数カ所見られます。

各部の詳細なコンディション

  • シリアル連番(No:000153/000154)
  • 本体木部ならびに入力パネルに小傷が見られます。
  • 中高域用の振動板(金色の半球部分)に亀裂なし。
  • 中低域向けウーファー(底面)の振動板や周辺に傷や亀裂なし。
  • 純正ジャンパーバー付属

スペック・諸元

  • 発売時期:2001年
  • 発売時価格:¥240,000(1本)
  • 方式:無指向性2ウェイシステム
  • 外径寸法:△200×H300(mm)
  • 重量:4Kg(1本)
  • インピーダンス:8Ω(最低:5Ω)
  • 再生周波数帯域:50Hz〜30Khz
  • クロスオーバー周波数:350Hz
  • 出力音圧レベル:70dB(2.83V/m)
  • 高域:セラミックドーム×1
  • 低域:平面振動板ウーファー(ダンパーレス)×1
  • オプション品:専用スタンドあり(¥100,000/ペア)

関連情報URL:https://www.g-mark.org/award/describe/28738

関連情報URL:https://www.phileweb.com/news/audio/200201/07/1977.html

中古の確認ポイント

ユニットの状態が完全かどうかが最大のポイントです。端的にいって70dBという高域ユニットの極端な低能率からアンプのクリップノイズによりユニットが破損しやすい機種です。

可能な限り現物を確認したい機種ですが、今や中古ショップに出回ることもまれであるため今回のようなオークションを利用するしかないと思います。

高域/低域ユニットに破損(外部・内部とも)がないこと

セラミックドームに破損や僅かでも割れがないかどうか。ドームだけでなく周辺も。
またウーファーに小音量でビビりがないかどうか。

後に詳しく述べますが、この機種は本質的に以下の課題を抱えたスピーカーです。

  • 過大入力によるユニット破損(ウーファーのボイスコイルほか)が生じやすい
  • 衝撃に弱い

当時これを購入したユーザーはそれを理解した上で買いましたが、それでも使用条件による破損(劣化ではありません)が起きたほどです。

不気味なぐらいリアル(そしてミニチュア)のステレオイメージ

今回記録したのは小音量の再生であまりにリアルなステレオイメージが得られるスピーカーだからです。8畳ぐらいの専用リスニング環境において「ある種の音」を求めるときこれに代わるものはありません。

村田製作所は完全球体スピーカーをやりたかった

本当は村田製作所が最終的に実現しようとしたのは完全球体スピーカーだったそうです。
そこに世界的シェアを持つ同社の圧電素子の技術で取り組んだスピーカーです。

ある一点から全方位に向けて均一に音が出せるならば、その放射パターンは生の音に限りなく近いとする説があります。

実際には低音になるほど一点からの放射は不可能になるため、このスピーカーのように低音は普通のユニットになるのですが。

これ以前にスーパーツィーターES103でハイファイ向け圧電スピーカーを販売しており、一定の支持があったことからこの企画に繋がったと思われます。

非常に優秀なツィーターでした

不気味なぐらいリアルな音像

低音も出ない、高音がグーンと伸びるわけでもない。ただただミニチュアで、それでいながら手でつかめるような音像が浮かび上がる。
それのみであり、またそこだけは他のスピーカーでは実現できない音でもあります。

ある一定以下の音量において、このリアルさは他機種で実現できたものが未だにないです。コンデンサースピーカーとも完全に違います。

また低音が出ないと書きましたが、出ないばかりか録音レベルが高いと容易に音が割れます、これがコンディションに影響します。
中音量でもボリュームに注意が必要な機種です。

圧電セラミック製の高域部は極めて能率が低く、入力が大きくなりすぎる仕様であることが理由です。

70dBは聞いたことがないほど能率が低く多分世界でも例がないと思います。そのためアンプには厳しい仕様です。
低音や人の声の録音レベルが高い場合、中音量でもアンプはクリップします。本当にノイズが出る。当時ショップでもボリュームをいじらせませんでした。

なお村田製作所の本社フロアに展示されたこともあり、私のように聴いた経験がおありの方もいらっしゃるのではないかと思います。
広い空間ですから何度かクリップさせたのだと思いますが、音量はデモとはいえないほど絞っていました。

また無指向性であるため壁から距離をとる必要があります。壁の反射で音圧を稼ぐこともできないため音量が上がりがちになります。これもクリップに繋がります。

クリップノイズはユニットに極めてよくありません。しかもこの機種は普通のスピーカーにとっては全く問題ない条件でさえ起こりかねないものとなる。

中古においてユニットの状態が全てとする理由です。

ただその仕様と個体としてユニットのコンディションがよければ、そして電源にゆとりのある大出力アンプがあれば、これしかない世界を再現します。

当時は「ムラタセイサク君」など同社の技術PRに注力していた時代でもあり、オーディオという異分野への進出は多分その方針と無縁ではなかったのではないかと思います。
そこそこ長期にわたって販売を続けていたものの今はありません。開発コストは相当掛かっており、今後こういったものがリリースされる可能性は限りなく低いと思います。

機会がある時に手に入れて後日費用と時間を掛けて鳴らし込むという価値のあるコンポーネントです。

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