Lo-D HMA-8300は、その定価に対して信じ難いほどの物量が投入されたパワーアンプです。
しかし改造品が多く買うべきではない中古オーディオでもあります。
日立製作所らしいエピソードも多いHMA-8300のYahooオークション落札価格について。
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3つの重要なヤフオク落札履歴
中古市場におけるLo-D HMA-8300の評価は、以下の人気・価格・コンディションに現れています。
一定の根強いファンがいる。日立製作所が作ったオーディオが如何なるものかを知る人が支持しています。
人気・コンディションと落札価格

- 落札価格:¥26,956(JPY・税別)
- 人気(ウォッチ数):★★☆(76人)
- コンディション :★☆☆(Poor)
- ヤフオク出品時の商品タイトル
- t【Lo-D】オーディオ機器 パワーアンプ STEREO POWER AMPLIFIER HMA-8300 ローディ 音響機器 通電確認のみ 汚れ有り 現状品 保管品
- 出品者
- にこにこくん
- 総合評価(良い):98.9%(7494件中)
- 出品地域
- 北海道
- 入札・落札情報
- 入札件数:34件
- 開始価格 1,000 円(税 0 円)
- 開始日時 2023.12.27(水)17:16
- 終了日時 2024.01.03(水)23:21
- オークションID d1119201687
Lo-D HMA-8300の音質とは
日立Lo-Dのパワーアンプにおいて比較的注目度の低かったモデルであり、雑誌メディアや評論家の音質レビューはほとんどありません。
オーディオ雑誌や評論家の過去レビューまとめ
評論家の井上卓也(Takuya Inoue)氏が技術解説を行なっていますが、音質には触れていない。
安すぎるため、試聴されなかった。
雑誌で取り上げられたのはスペック説明だけです。
特に日本製の低価格オーディオには多いケースです。
1970年代当時の日本では毎月のように国内外のオーディオコンポーネントが発表されていました。14万円の廉価なパワーアンプに割く紙面はなかったと思われます。同様の事例は多い。
JBL・TANNOY・Macintochなどと比べ知名度に劣る日本メーカーは多額の宣伝広告費を投じてメディアへの訴求や大規模試聴会を開催するようになります。
注目された音質技術と現実の評価・名機HMA-9500
販売そのものはオーディオ専門店よりもいわゆる家電量販店の比率が多かったようです。
値下げで売ったモデルであり人気はなかった。
しかし音質面で注目するべきはHMA-8300には名機「HMA-9500」の技術要素が多く取り入れられていること。
日立はパワーデバイスから高音質を取り出すには電源モジュールを大容量・高速化する必要があると気づいていました。
その知見が生かされたパワーアンプです、現在のオーナーからは「とにかく馬力があるモデル」と評価されています。
ヤフオク落札相場データ
※過去3ヶ月間にオークションでの落札がない場合、履歴は表示されません。
※現時点で出品がなされていない場合、検索結果は表示されません。
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(2024年まとめ)過去のLo-D HMA-8300オークション落札履歴
- 落札価格:¥17,100(JPY・税別)
- 人気(ウォッチ数):★☆☆(14人)
- コンディション :★☆☆(Poor)
- ヤフオク出品時の商品タイトル
- Lo-D ローディー HMA-8300 アンプ 現状品 中古 240207M4770
- 出品者
- コネクトストア
- 総合評価(良い):99.8%(40279件中)
- 出品地域
- 宮城県 仙台市
- 入札・落札情報
- 入札件数:10件
- 開始価格 10,000 円(税込 11,000 円)
- 開始日時 2024.03.12(火)11:44
- 終了日時 2024.03.16(土)23:17
- オークションID v1128329798
- コンディション説明:
- シリアルNo:63001701J
- 不動品(完全なジャンク)
- 通電時にショート(内部から異臭)
3月 16日 23時 12分 jegg-2010 入札。数量: 1 で 17,100
3月 16日 23時 08分 jegg-2010 自動入札。 17,100
3月 16日 23時 08分 dltjslga 自動入札。 16,600
3月 16日 23時 08分 jegg-2010 自動入札。 16,600
3月 16日 23時 08分 jegg-2010 入札。数量: 1 で 15,455
3月 16日 23時 05分 jegg-2010 自動入札。 15,003
3月 16日 23時 05分 dltjslga 自動入札。 15,455
3月 16日 23時 05分 dltjslga 入札。数量: 1 で 14,955
3月 16日 22時 59分 jegg-2010 自動入札。 14,955
3月 16日 22時 59分 zuuex 自動入札。 14,455
3月 16日 22時 59分 jegg-2010 自動入札。 14,455
3月 16日 22時 59分 zuuex 入札。数量: 1 で 13,955
3月 16日 22時 56分 jegg-2010 自動入札。 13,955
3月 16日 22時 56分 zuuex 自動入札。 13,455
3月 16日 22時 56分 jegg-2010 自動入札。 13,455
3月 16日 22時 56分 zuuex 入札。数量: 1 で 12,955
3月 16日 22時 53分 jegg-2010 自動入札。 12,955
3月 16日 22時 53分 zuuex 自動入札。 12,455
3月 16日 22時 53分 jegg-2010 自動入札。 12,455
3月 16日 22時 53分 zuuex 入札。数量: 1 で 11,500
3月 16日 22時 51分 jegg-2010 自動入札。 11,500
3月 16日 22時 51分 jegg-2010 入札。数量: 1 で 11,000
3月 16日 22時 49分 vugroup2023@ 自動入札。 11,000
3月 16日 22時 49分 vugroup2023@ 入札。数量: 1 で 10,500
3月 16日 21時 27分 Dai nhu dia doi 自動入札。 10,500
3月 16日 21時 27分 Dai nhu dia doi 入札。数量: 1 で 10,000
3月 14日 1時 23分 vugroup2023@ 入札。数量: 1 で 10,000
3月 12日 11時 44分 オークション開始。数量: 1 で 10,000
オーディオショップの中古価格
Lo-D HMA-8300はすでにオーディオショップでは下取りしないモデルとなっています。
リサイクル業者での流通が主となります。
なおハイファイ堂のみ下取りをします。理由は社内に修理部門を持っているためです。
ハイファイ堂など専門店の中古相場
よくある故障・不具合・中古Lo-Dは年数が経ちすぎている
通電しただけで動作確認をしていないため、コンディション判定『★☆☆(Poor)』の個体。。
出品されたのコンディション評価
※クリックして画像拡大

- シリアルNo:63002039J
(Good)
- 通電確認されている
- 長期保管品
(Bad)
- 動作未確認
- 全体的に汚れあり
Lo-D HMA-8300の「買ってはいけない」中古のポイント
日立Lo-Dのアンプについては注意深くコンディションを確認する必要があります。
後述のとおり意外なほどの人気があり、かつ自分で修理しようとするオーナーが多かったため。
- 動作確認済みであること(必須です、特に直流ノイズが出ているかどうかは要確認)
- メーターの照明が正常に点灯すること、またLEDに交換されていないこと。
理由は不明ですがアンプのパワーメーターの照明が切れている個体は、モデルを問わず内部の劣化が進んでるものが多い。
また最近はチューンナップと称してメーター照明をLED化する改造が見受けられますが、インバーターから音質劣化の原因となるノイズを放出するため避けるべきです。
Lo-D HMA-8300の仕様
いわゆる「製造コスト度外視で作られた」オーディオの典型例です。
いかに50年近く前とはいえ、こんな大容量の電源モジュールを持ったパワーアンプとして安すぎる価格です。
メーカー・発売年次と定価
1970年代は日立製作所がオーディオ事業を成長分野であり重要な経営カテゴリーと位置付けていた時代です。
オーディオ専業メーカーにはできない、圧倒的なコスト競争力と研究開発費をかけて製品を送り出していました。
- メーカー:日立製作所(Lo-D)
- モデル名・型番:HMA-8300
- 発売年次:1976年
- 定価:¥140,000(/台・JPY)
Lo-D HMA-8300の主要スペックと音質技術
低出力用・高出力用にそれぞれ2電源づつ、合計4電源の回路モジュールを搭載しており、そのため消費電力は高効率アンプとして異例の210Wとなっています。
単純に通常のパワーアンプの2倍の電源回路を持っているわけであり、上記の販売価格は現在では信じられないほどです。
- 主要スペック
- 型式 ステレオパワーアンプ
- 回路方式: 2段差動増幅全段直結4電源高能率純コンプリメンタリーOCL(ダイナハーモニー方式)
- ダイナミックパワー: 800W(IHF、8Ω)
- 実効出力
- (両ch駆動、THD 0.1%) 200W+200W(4Ω、20Hz~20kHz)
- 200W+200W(8Ω、20Hz~20kHz)
- 220W+220W(8Ω、1kHz)
- 全高調波歪率:(20Hz~20kHz) 0.1%以下(実効出力時)
- 0.005%以下(100W出力時)
- 0.03%以下(1W出力時)
- 出力帯域幅(IHF): 5Hz~30kHz(8Ω)
- 周波数特性 5Hz~80kHz +0 -1dB
- 入力感度/インピーダンス 1V/50kΩ
- 負荷インピーダンス 4Ω~16Ω
- ダンピングファクター(8Ω): 50(20Hz~20kHz)・100(1kHz)
- チャンネルセパレーション: 80dB(1kHz、8Ω)
- S/N(IHF、Aネットワーク) :110dB
- 使用半導体
- トランジスタ:40個
- ダイオード:47個
- IC:2個
- 電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
- 定格消費電力 210W
- 外形寸法 幅435x高さ182x奥行395mm
- 重量 24kg
- 別売 キャリングハンドル TA-1(¥5,000)
製造メーカーの目でみるオーディオ機器としての寿命
日立製作所とその他オーディオメーカーの最大の違いは技術力です。
弱電の一分野しか知らない他社と異なり、日立は重電から弱電まで、それも原子力から半導体製造までほぼ全てを網羅したエンジニアリングがオーディオ事業に投入されました。
部品メーカーへの圧力も大きく、他社では不可能な納入価格を実現していたようです。
同様のアプローチをとった日本のオーディオメーカーとしては東芝オーレックスがあります。
- 音質技術の注目ポイント
- 通信分野で多用される高効率なE級スイッチング電源をオーディオアンプに応用
- 出力に応じてパワートランジスタを切り替え、高効率でありかつ最適な音質を得られるダイナハーモニー方式を採用
- ダイナハーモニー方式を実用化するため、部品コストを度外視した高低2組の±2電源を搭載した
- 内部接点には銀めっきを多用し信号の損失を抑えた

傑出していたのはその品質管理への取り組みです。
評論家に貸し出して数年を経たパワーアンプを回収し、全ての部品について劣化度合いを分解・計測したとのこと。
コンデンサーでいえば現品を切断し、電解液の状態までチェックする徹底ぶりを示しています。
驚くべきことにHMA-8300は2000年代に入ってもメンテナンスを受け付けていたという記録があります。
日立製作所らしいエピソードです。

中古のメリット・デメリット
最新パワーアンプとの比較
現在では想像できないほどコストパフォーマンスの高いLo-D HMA-8300ですが、その中古を購入することはおすすめできません。
素人修理が行われた個体が多すぎるためです。
インターネットでは「Lo-D HMA-8300の修理」について、自前でした履歴が数多く出てきます。
2000年代に入ってなお日立製作所が修理を続けたという驚くべき努力を考えれば、自前で修理とはずいぶん勿体無い話としか思えません。
簡単にいえば雑に扱われることが多いモデルですが、その理由は2点
- 新品時の販売価格が安すぎた
- オーディオ分野では日立製作所のブランドが弱かった
あまりに安く売りすぎたせいか日立Lo-D全般に「安く使わなけらば損である」という残念なイメージがはっきり付きまとっていました。
Lo-D HMA-8300にいくらの修理代を出すのか、という問題が付きまとったモデルです。
多くのオーナーは自力修理を選びました。
一見簡単そうに見えて内容は高度、設計を見れば素人が治せるものではありません。
それゆえに、これはその成り立ちを考えれば本当に残念ですが、中古は購入するべきではない。
唯一の例外があるとすれば「デッドストック」です。これは万難を廃してでも手にいれる価値があります。それだけの性能があるアンプです。