AUTHENTIC A-10XX・ヤフオク落札情報(2021.7.22)

プリメインアンプ

AUTHENTIC A-10XXの良品が出品されたので記録します。花崗岩の天板やセパレート同等の電源を搭載するなど極めて個性的なプリメインアンプです。
本機はマニュアルも付属しており、丁寧に扱われた個体と思われます。

オークション出品情報・落札結果

最新のオークション情報(再出品時)

ヤフオク! - 日本最大級のネットオークション・フリマアプリ
  • 落札価格:¥160,000
  • 落札日時(予定):2021.08.08(日)22:54
  • 出品者:vintageaudiotokyo
  • ウォッチ数:13件(8月6日時点)
  • 落札件数:終了後別途記載
  • 落札履歴詳細

初回出品時の情報

ヤフオク! - 日本最大級のネットオークション・フリマアプリ
  • 落札価格:¥140,000
  • 落札日時(予定):2021.07.24(土)22:00
  • 出品者:vintageaudiotokyo
  • ウォッチ数:6件(7月22日時点)
  • 落札件数:終了後別途記載
  • 落札履歴詳細:終了後記載予定サイトURL(リンク先・ヤフーオークション公式):

出品物のスペック・諸元

1983年の初代A-10以来かぞえて6代目のモデルとなります。外装が変化している以外は基本的にNEC A-10Xと同等の回路構成となります。
電源をひたすら強化したプリメインアンプであり、出力は4Ωは8Ωの2倍。また3Ωまでをカタログ値として記載しています。

  • 発売時期:1994年
  • 販売当時価格:¥340,000
  • 外形サイズ:W480×H206×D486(mm)
  • 重量:45Kg(1本)
  • 能率:出力
  • (ステレオアンプ時)
    • 60W+60W(8Ω)
    • 120W+120W(4Ω)
    • 160W+160W(3Ω)
  • (バランスモノラルアンプ時)
    • 320W(6Ω)
  • その他詳細(リンク先・オーディオの足跡”AUTHENTIC A-10XX”)
AUTHENTIC A-10XXの仕様 オーセンティック

出品物コンディション・全体的に美品

全体的に美品と思われます。説明ならびに画像等から判断する限り動作に問題はないと思われます。

  • シリアルNo:247C0031(製造:407)
  • ボリュームに若干のガリあり外観上目立つ傷は確認されず(画像上)
  • ゲインスイッチ有効
  • バランス入力有効
  • シャーシ後部用スパイク付属
  • マニュアルあり

ボリュームを完全に絞ってもわずかに音が聴こえるとの出品者指摘がありますが、要確認ながらもこれは仕様です。

AUTHENTIC A-10XXのチェックポイントと中古相場

中古個体のチェックポイント

ヴォリューム・スイッチ類の電気的・メカ的な不具合の有無を調べることが基本です。
基本的にかなり頑丈な機種であり、簡素な仕上げのため側板やフロントパネルの傷が目立ちにくい。

なおセレクターやボリュームのノブにわずかにあるガタは仕様です。組み立て仕様上のもので本当に少ないですが他社と異なり確実にガタはある。
この機種は初代A-10から製造設備を引き継いだ部品が多く、シャーシ周りの設計の甘さも80年代初頭の仕様そのままに90年代後半まで続いています。

ボリュームについては、増幅仕様とボリュームの質(数百円クラスの極めて安いもの)から以下の特徴があります。故障ではありません。

  • 完全に絞ってもスピーカーの能率が高いと音が微かに聴こえる。
  • 小音量でのギャングエラーが多い。

出品者はこの点を正確に説明しており信頼できる説明です。

なおNEC最後のA-10Xとの違いとして、Authentic A-10XXのユーザーは比較的オーディオを大事にする傾向があります。
中古によっては元箱があるものも少なくない。本機もマニュアルまで完備など、大切に扱われたことが伺えます。

AUTHENTIC A-10XXの中古相場

直近の取引履歴は¥170,000となります。本機はショップにおいても長らく15万〜16万で販売されており、価格差はコンディション、そしてオークションはその時の人気度となります。

本個体は外観そして動作も良好であるため、16万前後の相場に準じた内容と思われます。

当時そして現在の機種評価・AUTHENTIC A-10XX

シリーズは初代A-10よりAuthentic A-10XX Specialまで最終的に14年間製造された機種です。本機種は6代目にあたり、NECブランドから社内ベンチャーであるAuthenticに引き継がれた後にリリースされた最初のモデルとなります。
大まかにいえば電源を強化したパワーアンプにアッテネーターをつけた構成です。

比較するならPioneer A-09がわかりやすいのですが、あちらが本格的なプリ部を持っているのに対し、こちらは簡単なフラットアンプ。音も対照的です。

セパレートパワーアンプとして高水準・A-10XX

本機は花崗岩の天板などちょっと普通ではない仕様ですが、目に見えない部分もセパレート並みの容量を持つ電源トランスや高剛性シャーシなど、物量投入そのもの。カタログ値で3Ω負荷の出力を明記するメーカーは現在ほとんどないことからも内容がわかります。

市場でも明らかにやりすぎと思われたのか、のちにA-10XX Basicという花崗岩パネルとサイドウッドを省略したモデルも発売されました。

単体のステレオアンプとしても特に低音の表現をはじめ駆動力はプリメインにないものを発揮しますが、この機種の本領はバランス入力によりモノーラルパワーアンプとした場合の音です。
極めて水準の高いセパレートパワーアンプとして機能します。

これはその後(1995年)発売されたA-10XXPでは海外ハイエンドアンプから乗り換えるなど一部の強烈な支持を集めたようにかなり高度な音質です。
オペアンプと異なりディスクリートによるバランスアンプはピュアオーディオでは+側とー側の特性を高精度に揃えることが難しく、それを実現した本機は高度な設計であることがわかります。

なおその音ですが、イメージされるような力任せの荒い音ではありません。駆動力があるため締まりがありますが高音の表現力もあります。
上記の海外ハイエンドアンプから乗り換えたユーザーの中にはマークレビンソンより気に入ったというコメントすらあったほどでアンプの能力が伺えます。

NECだからこそ物量投入・コスト度外視を現実化「してしまった」アンプ

国産オーディオの中でも屈指の物量投入仕様であり、旧NEC時代の定価は言うまでもなく、本機の定価(¥340,000)さえ本来であれば採算は取れないと思われるほどの内容です。
本機を含め4機種のA-10をリリースし、その他アンプやスピーカーにも取り組んだAuthenticでしたが、その後ピュアオーディオからは撤退し業務用機器に特化。そして2010年には会社そのものも事業再生となりNECと関連のない会社((株)オーセンティックインターナショナル)となりました。

A-10がなぜこれほどの物量投入の仕様を実現できたのか、メーカーがNECであったからです。

これはLo-D(日立)・Aurex(東芝)も同様ですが、2000年初頭までNECなど総合電機メーカーに納入することは部品メーカーにとって巨大なスケールメリットを得られるという魅力がありました。
現在からすれば考えられない話ですが、部品メーカーも部品毎の採算性を検証するのではなくNEC向けの売上全体に対して採算をカウントすることが普通に行われました。

わかりやすく言えばお付き合いを優先するためA-10向けの部品が赤字でも他の部品の利益で補おうということです。

例えばパソコンや白物家電向けと比較してオーディオ向けが圧倒的に少なかったとしてもそれを理由に部品価格が変更されることはなかった。
そのため使用される部品価格はオーディオ専業の競合他社やアンプ生産数に対して際立って低かった。

本機に関し採算度外視といわれますが上記の理由から少なくともアンプの製造コストが赤字となることはなかった。ただこの商慣習が薄れるとこのようなオーディオ製品は廃れました。

基本的に1983年の設計仕様を踏襲したところが多く、例えばセレクターやボリュームの僅かなガタ等が改善されないまま最終モデルまで続いたのは90年台に入ってからはパーツの新規開発があまりできなかったことによります。

これらは買う側にとってはメリットです。こういう表現は言い古されていますが、このアンプこそ現在作ろうとすれば100万円でも到底不可能といっていいでしょう。

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