AUTHENTIC A-10XXの良品が出品されたので記録します。花崗岩の天板やセパレート同等の電源を搭載するなど極めて個性的なプリメインアンプです。
本機はマニュアルも付属しており、丁寧に扱われた個体と思われます。
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3つの重要なヤフオク落札履歴
オークションにおいて愛好家が評価する中古AUTHENTIC A-10XXの重要な基準である
「コンディション」
「人気」そして「中古価格」
は以下となります。
- 落札価格:¥160,000(JPY・税別)
- 人気(ウォッチ数):★☆☆(13人)
- コンディション :★★☆(Average)
- 落札価格:¥160,000
- 落札日時(予定):2021.08.08(日)22:54
- 出品者:vintageaudiotokyo
- ウォッチ数:13件(8月6日時点)
(本件は一度出品・落札後、再出品された個体)
初回出品時の情報
- 落札価格:¥140,000
- 落札日時(予定):2021.07.24(土)22:00
- 出品者:vintageaudiotokyo
- ウォッチ数:6件(7月22日時点)
- 落札件数:終了後別途記載
- 落札履歴詳細:終了後記載予定サイトURL(リンク先・ヤフーオークション公式):
AUTHENTIC A-10XXの音質とは
とにかく駆動力が高いというレビューが共通しています。
評論家の間では好悪が分かれたモデルです。
オーディオ雑誌や評論家の過去レビューまとめ
- 低音から高音まで安定度が高い。弱音から強奏部まで明確に表現しスピーカーに対する駆動力が極めて高いことがすぐ実感できる
- オーケストラは重量感のある再現。
- 音場(Stereophonic)を広々と表現する。プリメインアンプのものではない。
- 力強い表現ではあるが強調された部分はない。どちらかといえば録音状態を忠実に再現する、モニター系ともいえる音
日本のオーディオ雑誌では「Stereo(音楽之友社)」「Audioaccessory(音元出版)」でのアピールが多い反面、季刊StereosoundではNo113において小林貢(Mitsugu Kobayashi)氏による新製品レビューがなされた以外の掲載がありません。
花崗岩の天板はかなり好みを分けたようです。
注目されたAUTHENTIC A-10XXの音質技術と現実の評価や人気
賛否が分かれたモデルです。
- プリメインアンプとは思えない、パワーアンプとして高水準
- そっけない、力任せで味わいに欠ける
はっきりいえば趣味が悪すぎるといいきるレビュアーがいる一方で一部からは熱狂的な支持を受けました。
なお会社としてのAuthenticはその後オーディオ事業から撤退ののち法人も消滅しますが、A-10そのものはいまだに支持者が多く、なんと2017年にクラウドファウンディングにより「A-10SG」として復活しています。
これは「ステレオ時代」という雑誌メディアが主導する形で行われたことが興味ぶかい。
少数ながら出資は続き、最終的には真空管アンプまでリリースしています。
ヤフオク落札相場データ
(2024.9)
直近の取引履歴は¥170,000となります。
「A -10XX Basic」はさまざま流通がありますが、上位機種である「A -10XX 」はほとんど流通していません。
ものは良かったのですが売れなかったため。
本機はショップにおいても長らく15万〜16万で販売されており、価格差はコンディション、そしてオークションはその時の人気度となります。
3ヶ月以上前のヤフーオークション落札履歴については、以下の各年度まとめをご参照ください。
※過去3ヶ月間にオークションでの落札がない場合、履歴は表示されません。
※現時点で出品がなされていない場合、検索結果は表示されません。
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当サイトでは消える前にデータを保管し、著作権上問題のないものを掲載しております。
オーディオショップの中古価格
(2024.9)
現時点では、「A-10XX(花崗岩仕様)」の販売実績はありません。
確認できるオーディオショップの中古価格例は、最上位機種の「Special」と廉価グレードの「Basic」のみです。
よくある故障・不具合
以下よりコンディション判定『★★☆(Average)』となります。
全体的に美品と思われます。説明ならびに画像等から判断する限り動作に問題はないと思われます。
出品されたAUTHENTIC A-10XXのコンディション評価
- シリアルNo:247C0031(製造:407)
- ボリュームに若干のガリあり外観上目立つ傷は確認されず(画像上)
- ゲインスイッチ有効
- バランス入力有効
- シャーシ後部用スパイク付属
- マニュアルあり
ボリュームを完全に絞ってもわずかに音が聴こえるとの出品者指摘がありますが、要確認ながらもこれは仕様です。
「買ってはいけない」中古AUTHENTIC A-10XXのポイント
ヴォリューム・スイッチ類の電気的・メカ的な不具合の有無を調べることが基本です。
基本的にかなり頑丈な機種であり、簡素な仕上げのため側板やフロントパネルの傷が目立ちにくい。
なおセレクターやボリュームのノブにわずかにあるガタは仕様です。組み立て仕様上のもので本当に少ないですが他社と異なり確実にガタはある。
この機種は初代A-10から製造設備を引き継いだ部品が多く、シャーシ周りの設計の甘さも80年代初頭の仕様そのままに90年代後半まで続いています。
ボリュームについては、増幅仕様とボリュームの質(数百円クラスの極めて安いもの)から以下の特徴があります。故障ではありません。
- 完全に絞ってもスピーカーの能率が高いと音が微かに聴こえる。
- 小音量でのギャングエラーが多い。
出品者はこの点を正確に説明しており信頼できる説明です。
なおNEC最後のA-10Xとの違いとして、Authentic A-10XXのユーザーは比較的オーディオを大事にする傾向があります。
中古によっては元箱があるものも少なくない。本機もマニュアルまで完備など、大切に扱われたことが伺えます。
AUTHENTIC A-10XXの仕様
1983年の初代A-10以来かぞえて6代目のモデル。
外装が変化している以外は基本的にNEC A-10Xと同等の回路構成となります。
電源をひたすら強化したプリメインアンプであり、出力は4Ωは8Ωの2倍。また3Ωまでをカタログ値として記載しています。
メーカー・発売年次と定価
- メーカー:AUTHENTIC(NEC)
- モデル名・型番:A-10XX
- 発売年次:1994年
- 定価:¥340,000(/台・JPY)
AUTHENTIC A-10XXの主要スペックと音質技術
性能諸元の数値はNEC時代のA-10から変わりません。
しかし重量は大幅に増え、45Kgという非常識なものとなっています。音質もよりハードで鋭くなったと言われている所以です。
- 主要スペック
- 外形サイズ:W480×H206×D486(mm)
- 重量:45Kg(1本)
- 能率:出力
- (ステレオアンプ時)
- 60W+60W(8Ω)
- 120W+120W(4Ω)
- 160W+160W(3Ω)
- バランスモノラルアンプ時:320W
- 全高調波歪率:0.01%以下(3Ω定格出力時、20Hz~20kHz)
- 混変調歪率:0.01%以下(3Ω定格出力時、20Hz~20kHz)
- 周波数特性:5Hz~300kHz +0 -3dB
- SN比:
- Line1、2、3:110dB(1.0V入力時)
- Line4、5:100dB(300mV入力時)
- Balance:110dB(0.5V入力時)
- 入力感度/インピーダンス:
- Line1、2、3:1.0V/18kΩ(300mV/18kΩ切換付)
- Line4、5:300mV/20kΩ
- Balance:0.5V/18kΩ
- 入力「1〜3」はゲイン切替機能あり(背面パネル)
- 電源部回路方式:リザーブ電源
- 消費電力:290W
- スペック上の注目ポイント
- 「NEC A-10X」を基本に、すべての構成パーツを見直したモデル
- 信号ラインは金メッキ化(リレー・バスバー)
- フィルターコンデンサー等を高音質化
- R/Lを完全に分離したモノラル構造を採用
- 入力信号の増幅段からパワーアンプまでのレイアウトを最短化
- セパレートパワーアンプ並みの大容量の電源回路を搭載
- 出力段の「リザーブ電源」は平滑コンデンサーの総容量は12,000μF
- 不要振動を排除するため、天板に花崗岩を使用した超重量級シャーシ
- 天然花崗岩の天板は5種類、サイドウッドとフロントパネルは2種類のカラーを選択可能
- 鉄製の重量級インシュレーターを使った3点支持
- 「NEC A-10X」を基本に、すべての構成パーツを見直したモデル
製造技術からみるオーディオ機器としての寿命・A-10XXは修理可能
きわめて頑丈なプリメインアンプ、というよりパワーアンプです。
使用されている部品は「NEC A-10X」から高音質化されていますが、現在でも入手できるもの。
専用設計となるトランス・セレクター・外装部品を除けば修理は可能です。
付け加えますと、初代A-10のみ修理が難しい。これはパルス電源まわりのノイズなど幅広く補修が必要となるため。
なお修理費用は想像より高かったというのが、「A-10X」「XX」シリーズを修理専門業者に依頼したユーザーに共通する感想です。
¥340,000(JPY)という販売価格にしては良質なパーツを使用していたためです。
中古AUTHENTIC A-10XXのメリット・デメリット
最新プリメインアンプとの比較
- メリット:
- スピーカーに対する駆動力は標準的なセパレートアンプでは及ばないほど強力。
- 極めて珍しいモデルだが、カスタムパーツを使わないため整備はしやすい。そもそも頑丈な作り
- デメリット
- 2000年代に顕著になったローノイズ設計においては劣る
- 旧NECから引き継いだ仕様には基本的に古さがある。ボリュームのギャングエラーやガタなど。
- デザインが特殊
あまりにも条件が違いすぎるため、AUTHENTIC A-10XXを最新のプリメインアンプと比較することは難しい。
駆動力は一流だが、S/N(ノイズ特性)の点では3万円のアンプにすら劣るという、現代ではかなりアンバランスな特徴となります。
NECとAUTHENTICの違い・『A-10』は14年間作られ続けた。
シリーズは初代A-10よりAuthentic A-10XX Specialまで最終的に14年間製造された機種です。
本機種は6代目にあたり、NECブランドとの違いは社内ベンチャーであるAuthenticに引き継がれた後にリリースされた最初のモデルとなります。
NEC時代のA-10にできる限りの高音質パーツを盛り込んだのが「A-10XX」です。
その構成を大まかにいえば電源を強化したパワーアンプにアッテネーターをつけた構成です。
比較するならPioneer A-09がわかりやすいのですが、あちらが本格的なプリ部を持っているのに対し、こちらは簡単なフラットアンプ。音も対照的です。
セパレートパワーアンプとしては現代でも高水準の中古A-10XX
本機は花崗岩の天板などちょっと普通ではない仕様ですが、目に見えない部分もセパレート並みの容量を持つ電源トランスや高剛性シャーシなど、物量投入そのもの。カタログ値で3Ω負荷の出力を明記するメーカーは現在ほとんどないことからも内容がわかります。
市場でも明らかにやりすぎと思われたのか、のちにA-10XX Basicという花崗岩パネルとサイドウッドを省略したモデルも発売されました。
単体のステレオアンプとしても特に低音の表現をはじめ駆動力はプリメインアンプにないものを発揮しますが、この機種の本領はバランス入力によりモノーラルパワーアンプとした場合の音です。
極めて水準の高いセパレートパワーアンプとして機能します。
これはその後(1995年)発売されたA-10XXPでは海外ハイエンドアンプから乗り換えるなど一部の強烈な支持を集めたようにかなり高度な音質です。
オペアンプと異なりディスクリートによるバランスアンプはピュアオーディオでは+側とー側の特性を高精度に揃えることが難しく、それを実現した本機は高度な設計であることがわかります。
なおその音ですが、イメージされるような力任せの荒い音ではありません。駆動力があるため締まりがありますが高音の表現力もあります。
上記の海外ハイエンドアンプから乗り換えたユーザーの中にはマークレビンソンより気に入ったというコメントすらあったほどでアンプの能力が伺えます。
NECだからこそ物量投入・コスト度外視を現実化「してしまった」アンプ
国産オーディオの中でも屈指の物量投入仕様であり、旧NEC時代の定価は言うまでもなく、本機の定価(¥340,000)さえ本来であれば採算は取れないと思われるほどの内容です。
そもそも花崗岩の天板など誰が考えつくでしょうか。
本機を含め4機種のA-10をリリースし、その他アンプやスピーカーにも取り組んだAuthenticでしたが、その後ピュアオーディオからは撤退し業務用機器に特化。そして2010年には会社そのものも事業再生となりNECと関連のない会社((株)オーセンティックインターナショナル)となりました。
A-10がなぜこれほどの物量投入の仕様を実現できたのか、メーカーがNECであったからです。
これはLo-D(日立)・Aurex(東芝)も同様ですが、2000年初頭までNECなど総合電機メーカーに納入することは部品メーカーにとって巨大なスケールメリットを得られるという魅力がありました。
現在からすれば考えられない話ですが、部品メーカーも部品毎の採算性を検証するのではなくNEC向けの売上全体に対して採算をカウントすることが普通に行われました。
わかりやすく言えばお付き合いを優先するためA-10向けの部品が赤字でも他の部品の利益で補おうということです。
例えばパソコンや白物家電向けと比較してオーディオ向けが圧倒的に少なかったとしてもそれを理由に部品価格が変更されることはなかった。
そのため使用される部品価格はオーディオ専業の競合他社やアンプ生産数に対して際立って低かった。
本機に関し採算度外視といわれますが上記の理由から少なくともアンプの製造コストが赤字となることはなかった。ただこの商慣習が薄れるとこのようなオーディオ製品は廃れました。
基本的に1983年の設計仕様を踏襲したところが多く、例えばセレクターやボリュームの僅かなガタ等が改善されないまま最終モデルまで続いたのは90年台に入ってからはパーツの新規開発があまりできなかったことによります。
これらは買う側にとってはメリットです。こういう表現は言い古されていますが、このアンプこそ現在作ろうとすれば100万円でも到底不可能といっていいでしょう。おそらくは名機と呼んで差し支えないモデルです。