GAUSS OPTONICA CP-3830の評価とは・中古価格と日本製スピーカーとしての音質レビュー

スピーカー・大型

実に珍しいスピーカーです、GAUSS OPTONICA CP-3830。
JBL4343が大人気の時代に、それを超える高額なオーディオ機器を、しかも家電専業メーカーが開発・投入したという稀なモデルです。

個体数が少ないだけに今後の相場情報として価値があります。

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3つの重要なヤフオク落札履歴

中古市場においてレアモデルであるだけでなく、人気も高い。
SHARPによるチューニングと呼べるほどのものはありません、ほとんどはGAUSSと、シャープがコストぎりぎりまで資金をつぎ込んだネットワーク部品で音質が決まっているため。

中古を狙った愛好家は多く、かなりの悪条件でも必ずオークションが成立する隠れた人気モデルです。

人気・コンディションと落札価格

gauss ガウス OPTONICA studio monitor spearker... - Yahoo!オークション
GAUSSの3ウエイスピーカーシステム、CP-3830 ペアになります。お引き取りの方、または落札者様での配達業者のお手配の方のみの出品になります。商品の詳細は下記のサイトでご覧ください。GAUSS/OPTONICA CP-3830の仕様 ...

2021年時点よりも20%ほど中古価格がアップしました。
2年前の出品と比べてコンディションは劣るにもかかわらず人気も中古価格もあがっています。

すべてが「Gauss」ともいえるスピーカーであることを考えると、ある意味納得はできます。

  • 落札価格:¥1,000,000(JPY・税別)
  • 人気(ウォッチ数):不明
  • コンディション :★☆☆(Poor)
  • ヤフオク出品時の商品タイトル
    • gauss ガウス OPTONICA studio monitor spearker system / CP-3830 ペア お引き取りの方限定
  • 入札・落札情報
    • 入札件数:1件
    • 開始価格 1,000,000 円(税 0 円)
    • 開始日時 2023.07.29(土)22:48
    • 終了日時 2023.08.05(土)22:47
    • オークションID j1100010072
  • 出品者
  • 出品地域
    • 大分県
  • コンディション説明:
    • シリアルNo:不明
    • 動作確認済み(パッシブネットワーク仕様にて)
    • アッテネーターのノイズなし
    • ウーファーのネジを1本紛失(大4本、小4本・内部でマグネットについているが、取り外せない)
    • 保護ネットなし
    • 傷・汚れあり(特に天板)

GAUSS OPTONICA CP-3830のの音質とは

1979年は後年話題になる日本製スピーカーが数多く登場した時代です。
会社を超えた共通点は、高い製造コストと利益が出ないほど安い販売価格。

「OPTONICA」というブランドを知らしめるため、SHARPは安く製品を作るとともにさまざまなオーディオ雑誌や試聴会に製品を提供しました。

オーディオ雑誌や評論家の過去レビューまとめ

評論家からは概ね好評でした、ALTEC『A5』との比較試聴するという、現在ならば笑われるかもしれない企画も組まれています。

賛辞の多くはGAUSSのスピーカーユニットに対するものであったことがわかります。

  • ハイスピードでありながら重量感のある低音を基礎として、中高域もまた極めて反応が速い。
  • 本来は近接してヒアリングすることは想定していないが、大味なところはなく繊細な表現もこなす、バイオリンのソロ演奏も得意
  • ALTEC A5と比べた時、セッティングにはより配慮が必要と思わせる敏感な部分がある

試聴には当時最高峰といわれたMarklevinsonのLNP-2LやML-2Lなどが組み合わせられることが多く、関心の高さを窺わせます。

注目された音質技術と現実の評価・人気:JBL以上の人気だったGAUSSで一気に市場を取ろうとした意欲作

果敢なチャレンジといえます。
投入された部品・材料費に対して安いすらといえる価格でしたが売れませんでした。
理由はメーカーがシャープであったから。

当時のシャープは電卓や安物家電のメーカーと思われていました。
同社もその評価はよく知っており、すべてをGAUSSユニットで固め高品位のネットワークを使いながらも¥880,000(1台)という価格で勝負に打って出ました。

JBL 4343が¥560,000(/台)の時代ですから当時の国内外スピーカーの中でも間違いなく高価です。
しかしGAUSSのスピーカーユニットそのものがかなりの高額であり、製造原価は高かった。
シャープはJBLをはるかに凌ぐGAUSSという定評に賭けたのです。

しかし結果は惨憺たるものでした。
単なる販売促進やマーケティングだけでは売れなかったようですが、こののちシャープはピュアオーディオからは撤退します。

同時期にEXCLUSIVEの評価を作り上げたPioneerと比べた時、さまざまな違いが際立つスピーカーです。

ヤフオク落札相場データ

※過去3ヶ月間にオークションでの落札がない場合、履歴は表示されません。
※現時点で出品がなされていない場合、検索結果は表示されません。

Yahooオークションの落札履歴はシステム上の理由から最大2年で抹消されます
当サイトでは消える前にデータを保管し、著作権上問題のないものを掲載しております。

(2023年まとめ)過去のオークション落札履歴

(2024.8.11)
2023年は確認できる限り2件の中古が市場に出されました。すべてオークションです。
注目するべきは落札価格であり、2021年と比較してコンディションが悪いにも関わらず価格はかなり上昇しています。

  • ヤフオク出品時の商品タイトル
    • 【現状品】スピーカー GAUSS OPTONICA CP3830  ※42634 ※直接お引き取りの方のみ入札宜しくお願い致します。
  • 入札・落札情報
    • 入札件数:117件
Yahoo!オークション - 日本最大級のネットオークション・フリマアプリ
  • 落札価格:¥808,000(JPY・税別)
  • 人気(ウォッチ数):不明
  • コンディション :★★★(Excellent)
  • 入札・落札情報
    • 入札件数:200件
    • 落札日時:2021年8月 2日 21時 26分
  • 出品者
    • tunagu5555(ウエスト(Tunagu株式会社))
  • コンディション説明:
    • シリアルNo:
    • 本品のコンディションは極めて良好です。GAUSS OPTONICAとしてというより70年台末のスピーカーがこの状態を保っているということが驚きです。
    • ユニット・エンクロージャー共に美品。
    • 音出し動作良好
    • スタンドに補修跡あり
    • この年代でこれ以上は期待できないレベルと思います

(2021年まとめ)過去のオークション落札履歴

(2021.8.20)
CP-3830は個体が少なく相場といえるようなものは形成されていません。

直近の参考としては2021年3月に625,100円での落札があります(入札:63人)。この個体は外観・動作ともに状態が悪く、この価格は新品でどんな音が得られるかという比較が生じる価格です。余程のファンでない限り高値と思われます。

Yahoo!オークション - 日本最大級のネットオークション・フリマアプリ

オーディオショップの中古価格

オークションでも1年に一度出品があるかどうかというレアモデル。
オーディオ専門店ではハイファイ堂が精力的に買取を行っていますが同じく取り扱い件数は少ない。

ハイファイ堂・オーディオユニオンほか専門店の中古相場

http://www.onken-audio.co.jp/chuuko2007-1CP3830.htm

よくある故障・不具合

以下よりコンディション判定『★☆☆(Poor)』となります。保護ネットは紛失し、傷も多い。

しかしすべてがGAUSSユニットでありペーパーコンデンサーなど入手が難しい部材を使ったネットワークなど、このようなスピーカーは貴重であり価値は上がる一方です。

出品されたGAUSS OPTONICA CP-3830ののコンディション評価

出品物の傷・不具合(右)
GAUSS OPTONICA CP-3830モニタースピーカー・中古オーディオの情報・商品の状態説明・傷汚れなどコンディション・買取・落札時の確認・注意点R0810
  • シリアルNo:不明

(Good)

  • 動作確認済み
  • スピーカーユニットに傷なし

(Bad)

  • 保護ネット紛失
  • キャビネットに傷と汚れ
  • ホーンに目立つ傷
出品物の傷・不具合(左)
GAUSS OPTONICA CP-3830モニタースピーカー・中古オーディオの情報・商品の状態説明・傷汚れなどコンディション・買取・落札時の確認・注意点L0810
  • シリアルNo:不明

(Good)

  • 動作確認済み
  • スピーカーユニットに傷なし

(Bad)

  • 保護ネット紛失
  • キャビネットに傷と汚れ
  • ホーンに目立つ傷

「買ってはいけない」中古GAUSS OPTONICA CP-3830のポイント

OPTONICAブランドのCP-3800系ラインナップはGAUSSユニットのコンディションが最大のチェックポイントです。

ここに傷がある場合は無価値となります。

今回の出品はほとんどパーフェクといっていいコンディションでありその必要はありませんが、このような例外を除けば本機種を探す場合GAUSSユニットが中古として美品・完動であることが最低条件となります。

  • ドライバーからの異音
  • ウーファー振動板の状態
  • ネットワーク改造有無

CP-3830によらずGAUSS OPTONICA全般においてプロ用に使われることのなかった機種のため、大入力による破損の可能性は低いのですが、代わりに

  • タバコ
  • 加湿器(放出されたカルキによる腐食)

これらが考えられます。
取り付けネジ等の腐食は確認したい点です。

またネットワークは当時としては極めて高音質の素子をもちいておりますが、後述するシステムとして未完成であったことから改造されるケースがみられます。

GAUSS OPTONICA CP-3830のの仕様

オーディオ市場が成長産業と思われていた頃の製品です。
シャープ・京セラ・日立製作所・東芝・三洋電気といったオーディオとは縁のない企業が続々と参入した時代のスピーカーです。

新規参入のため「オーディオの設計・チューニング技術」のない会社は、製造コストぎりぎりまで(時には赤字覚悟で)とにかく高級な部品を集めて作っていた。

そういった時代を反映した贅沢なスピーカーです。

メーカー・発売年次と定価

CP-3830の発馬時、SHARPは日本におけるGAUSSの正規輸入代理店となりました。
その縁もあってか、シャープは独自の高級ブランド(OPTONICA)を作り上げます。

当時のGAUSSを率いていたのはバート・ロカンシーとエド・メイでしたが、のちにバートロカンシーはPioneerの技術顧問になるなど、70年代から80年代にかけ日本のオーディオ市場ではかなり稼いだようです。

  • メーカー:SHARP(ブランド名「 OPTONICA」)
  • モデル名:GAUSS OPTONICA CP-3830
  • 発売時期:1979年
  • 発売時価格:¥880,000(1台)

GAUSS OPTONICA CP-3830のの主要スペックと音質技術

4インチコンプレッションドライバーである「HF-4000+4110」を中心に、オール「GAUSS」のスピーカーユニット。
そして考えられる限りの「高価な」パーツを用いたネットワークという設計。
音質設計できない部分は全部お金で解決しようとしたことがよくわかるスピーカーです。

なおモニタースピーカーとして販売されましたが、購入したのは家庭用の愛好家でした。

  • 形式:3ウェイオールホーンスピーカー
  • 外径寸法:W620×H1980×D566
  • 重量:75Kg(1本)
  • インピーダンス:8Ω
  • クロスオーバー周波数:800Hz/7kHz
  • 出力音圧レベル:100dB/W/m
  • 再生周波数帯域:30Hz〜20KHz
  • 最大入力:300W(MPO)
  • ユニット構成高域:
    • ウーファー:コーン型(5831F)
    • スコーカー:ホーン型(HF-4000+4110・ダイヤフラム径:102mm)
    • ツィーター:ホーン型(1502)
  • 専用のネットワークとして「OPTONICA PX-3315」が単売されていました。

製造メーカーの目でみるオーディオ機器としての寿命

結論をいえば今でも使えるだけの耐久性があります。
オーディオ機器としての寿命は長い。

そもそもプロ用で購入された個体はほとんどなく、このモデルを劣化させる要素は温度と湿度ぐらいだったからです。

そして搭載されているGAUSS製スピーカーユニットの耐久性は折り紙付き。
せいぜいネットワークの素子を交換するぐらいがメンテナンスですが、それとて現在ではとてつもなく高価、あるいは入手不可能なコンデンサー・コイル・抵抗で構成されているため、まずはオリジナルで鳴らしてみることをおすすめする次第です。

CP-3830
GAUSS/OPTONICA CP-3830の仕様 ガウス/オプトニカ
SHARP OPTONICA CP-3 スピーカーのすべて ②
このテーマで話し始めたのはいいのですが、この話は人の興味を引くものでは無いですね(笑)まあ、想い出と記録を兼ねておりまして、前からやろうと思っていたので、落ちは無いかもしれませんが、進めてみます。 前回は、若かりし頃の想い出と、オークション...
OPTONICA PX-3315の仕様 オプトニカ

中古のメリット・デメリット
最新ハイエンドスピーカーとの比較

メリットは太く迫力がある音。
この点は現在でも真似できない、というより現代のスピーカーが追わなくなったホーンスピーカーの良さを色濃くもっています。
反応の良さと濃厚さは現代のスピーカーではまず見られません。

デメリットはモデルとしてもブランドとしても無名であること。
そしてシャープOPTONICAとしてのブランドキャラクターというものがありません。音質設計もGAUSSに頼り切りです。

あくまでGAUSSの良さそのままがスピーカーの音となっています。

シャープOPTONICAには「音をまとめる技術」がなかった

これはCP-3820やCP-3824にもいえるのですが、GAUSSユニットそのままの音です。OPTONICAとしての特徴といえるものがない。

GAUSSはJBLの名設計者バートロカンシーの全面的なコンサルティングのもとに成立したメーカーです。

ALTECが頼りなくなりつつある中で当時ポストJBLの最右翼としてプロ・アマ問わず注目されていました。特に本機のウーファーの5831、そしてその後にリリースされた4583Aは極めて強力なハイパフォーマンスユニットでした。

特にJBL4350の低音部をアップグレード目的で換装されることが多かった。
腰が強く明瞭でしかもより低い周波数まで伸びた特性は実に魅力的でした。

しかしメジャーにはならなかった。
メーカーとしての寿命が短かったということもありますが、音色の濃さがブランドのカラーに勝っていた印象がありました。

ユニットは低音から高音までラインナップされており個別では良いのですが、集めて使うとちょっとバラバラの印象があった。
JBLを換装したユーザーもバランスがとれず最終的には元に戻していました。

ユニット性能はそのまま使っても高水準という前提で、SHARPもまたGAUSSの音以外は出せませんでした。
ネットワークはかなり上質であるなどかなりコストが掛かっていますが、音づくりができず必然的にこうなったようです。

上記のように改造される一因ともなっております。

GAUSSユニットを使った国産スピーカーはユニットの個性に引っ張られた

販路拡大のためGAUSSはプロユースだけでなく民生スピーカーメーカーに対してもOEM供給を行なっていました。
国産でもDENONなどが採用しましたがOPTONICA、というかSHARPと同様でした。ハイエンドではありましたがそのメーカーのラインナップの中では明らかに異色な音でありユーザーからの支持も弱かった。

アンプなど駆動系のクオリティをはっきり出してくる性質も使いこなしが厳しいユニットでした。アセンブリするメーカーによほどの設計手腕がないとユニットの個性に引っ張られてしまい、バランスよく鳴らすことが難しかったのではないかと思います。

しかしこの個体は美品そのものであり実に見事です。同年代のスピーカーとして稀な個体だと思います。
また当時大流行したGAUSS独特のキャラクターも実に魅力的です。

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